Windows 10 Pro Technical Preview を評価

フィードバックの重要性

Windows 10 の Technical Preview が出たのは知っていたのですが、それほど興味が沸かずスルーしてたところ MSDN でエバンジェリスト高橋さんの下記エントリが目に留まりました。

さて、Windows 10 のテクノロジープレビューを出した理由って何だと思います?今アプリを作られている方などに事前にチェックしてほしいから、ってのもありますが、OSの機能について皆さんにフィードバックをいただきたいからです。

… 私が書かなくてもいいよね?

そう思われている方もいらっしゃるかも。でもね、Windows 10 をインストールしてチェックしてくれる人って本当に少ないんですよ。だってMac の人もいるし、Windows 7 使ってて 8もβ も興味ない人もいるし、そもそもOSのインストールも知らない人もいます。そしてWindows 8 を使っていても、わざわざβバージョンのOSをリスクをおして入れてくれる人って本当に少ない。

ですから、そういったスキルがあって、OSに対して良し悪しの意見が出せる方から、ぜひフィードバックがほしいのです。

Windwos 10が最終的にリリースされた時に、「これは私がフィードバックしたから直った」って思っていただいてもいいですし、実際に過去のOSやブラウザの開発中にはユーザーからのフィードバックによってたくさんの仕様が変更されています。Windows 10 がリリースされた時に皆さんが快適なOSとして使えるために、Windows 10 をインストールできる方はぜひフィードバックをお願いします。

Windows 10 のフィードバックを! - 高橋 忍のブログ - MSDN Blogs

これを読んで、そうかフィードバックした方がいい OS が使える可能性があるんだ。。。と単純に思って、普段ほとんど火を入れることのない 自作 Tower PC の Windows 7 のパーティションを潰して試してみることにしました。

インストール

7年前のスペックのマシンでメモリ 4GB しか積んでおらず Windows 8.1 は 32bit 版導入してますが TP は64bit版 にしました。動かすアプリはほとんど 32 bit だけどメモリがフルに使える環境を構築してみたかったからです。

最初 Windows 7 からのアップグレードインストールをしたのですが OS の起動がうまくいきません。インストーラーの方で勝手に2度ほどリトライして最後は「修復しています」というメッセージとともに復元ポイントに戻されました。被害はなかったので、今時の Preview はインストーラもよくできてるなと妙に感心。

次の日 DVD-R を買ってきて ISO イメージを焼きつけクリーンインストール。無事起動できました。やはりクリーンインストールが鉄則のようです。

8.1 からの変更点

目につく特徴を並べると

  • ウィンドウのシステムボタンが大きくなっている(タブレットでの操作に配慮したものと思われます)
  • スタートボタンの右側が OS X の Spotlight 相当の検索窓になっている(Win+F がショートカットキーです)
  • タスクトレイアイコンがフラットになっている(Yosemite チック)
  • スタートメニューにストアアプリのアイコンが並んでる(フルスクリーンにもできる)
  • ストアアプリがウィンドウで実行可能になってる(操作性は変わりません)
  • ストアアプリっぽい Settings で設定できる項目が 8/8.1 より多くなっている(これもタブレット配慮か)

っていうところでしょうか。

タスクビューと仮想デスクトップ

タスクビューという OS X の Mission Control 相当の機能が追加されてます。仮想デスクトップはタスクビューから追加します。 Win+Ctrl+左右キーで切り替えできます。アプリを別の仮想画面に移動させるのは OS X だとドラッグ&ドロップでできますけど Win 10 TP ではタスクビューで対象のアプリを右クリックしてコンテキストメニューから「移動」->「デスクトップ2」のようにします。今のところ OS X ほどは洗練されてないものの OS 標準でサポートされるのは大きいですし、製品版ではもう少しブラッシュアップされるのではないでしょうか。期待してよいと思います。

スタート

スタートがフルスクリーンじゃなく使えるため、タスクバーを見ながらタスクバーアイコン付け外しができます。当たり前と思われるかもですが 8/8.1 ではいちいちデスクトップに切り替えないと確認できなかったので地味に便利。スタートで ピープル、天気、カレンダーなどストアアプリをサイズ大のアイコンで見れるのなかなかいい感じ。フィードバックには Vista/7 のガジェット復活を望む声多数でしたが、個人的にはなくてもいいかなと。ちなみにフィードバックは Windows Feedback ていうストアアプリからするようになっています。

スタートメニューが復活ということで期待する人も多いと思いますが TP 版のスタートはフルスクリーンのスタート画面をスタートメニューの大きさに押し込んだものという感じで Windows 7 までのスタートメニューとは別物です。

自分の使い方として Windows 7 ではタスクバーとスタートメニューに配置するアプリは次のように仕分けていました。

  • ランチャーだけのアプリはスタートメニュー
  • よく使うアプリ本体はタスクバー

ランチャーだけのアプリというのは、たとえば NTEmacs を起動する runemacs.exe とか IntelliJ IDEA の idea.exe とか Atom エディタの atom.exe などです。これらは、本体を別プロセスとして起動するため、タスクバーに置くと起動後に本体のプロセスアイコンが並び紛らわしい。それでスタートメニューに置くのですが、作業フォルダを指定する必要があることがよくあります。 だけど Windows 8/8.1 のスタート画面ではデスクトップアプリの作業フォルダが指定できません。Windows 10 のスタートでもこの点は受け継がれています。作業フォルダという概念のないストアアプリとデスクトップアプリを同じ仕組みで起動させるのはやっぱり無理がある気がします。

今のところ作業フォルダ設定がサポートされる可能性は低そうなので、タスクバーにツールバーを追加して任意のフォルダのアイコンを出す機能を使ってランチャーっぽくしています*1

f:id:kondoumh:20150215191305p:plain

普段使いのソフトウェアの動作

Chrome, PDF Exchenge Viewer, Dropbox, Msysgit など普段使いのソフトウェアは問題なく動作しています。NTEmacs の検索機能で 日本語 IME の制御がうまくいかず、日本語での検索ができないという問題がありますが Emacs 自身の日本語入力を使うと一応使えるのでそれで回避しました。

Visual Studio 2015 Preview や IntelliJ IDEA も導入しました。Node.js も問題なく動くので Web のフロント開発もばっちりです。

メイン環境として使おうと思います

ここ数年すっかり Apple 信者になって、長らく MacBook Air をメインマシンにしてきましたが Windows 10 TP かなり気に入りました。自宅でのメイン環境として使おうと思います。64bit でメモリをフルに使えるからか Windows 8.1(32bit) よりも動作が軽快ですし、仮想画面がやはり便利です。マルチブートの Windows 8.1 を起動することはほとんどないと思います。

Windows をメインで使って不便なのは Mac のように Emacs ライクなキーバインドが OS 全体にないというところですが、逆に言えばそれぐらいのことですし、自分の本業であるエンプラアプリ開発は Windows マシンでやるのが普通なので、職場と環境が共通化できるのはメリット大という気がします。

プレビュー版ということもあり、Office は入れていないので Office 使うときだけ MacBook Air の VM 起動します。

(2015/02/22 追記) と書いたんですけど、やっぱ Tower PC の電源入れるのって億劫だし騒音もあるので全然使ってないです。エルゴノミクスマウス買ってきてまで入力環境整えたんですが。。。

f:id:kondoumh:20150222181531j:plain

フィードバックしたこと

フィードバックは「提案」と「問題」にカテゴリが分けられています。上に書いたスタートでのデスクトップアプリの扱いが微妙という点について提案しました。

Windows 8/8.1 からの課題だと思いますが、ストアアプリとデスクトップアプリをスタートで管理するのはやはりちょっと無理やり感があるのではないでしょうか。 ストアアプリはタイル表示で大きさ変えるとコンテンツが表示されこれはこれでよいものだと思いますが、デスクトップアプリのスタートは別途メニューから行えるほうがよいと思います。タスクバーに起動用だけのアイコンが増えるのはうざいですし、作業フォルダを指定したいアプリもあります。アプリのインストーラーは C:\Users\Default\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs にアイコンを登録する仕様だと思うので、このフォルダを階層メニューとしてスタートから辿れればよいんじゃないかと思います。

それから、インストール後マルチブートの画面がちゃんと出ず戸惑った点も報告しました。

Windows 8.1(32bit)が導入されている HDD の空きパーティションに導入しましたが OS 選択できるようになりませんでした。ディスクの管理で Windows 8.1 のパーティションをアクティブにしてみたら OS ブートができなくなっってしまい、インストール DVD で起動して修復したところ無事起動し OS 選択も可能になりました。マルチブートで使いたいユーザーは多いと思うので、管理ツールなどで簡単に設定できるようになるとよいと思います。

さいごに

ということで Windows 10 はかなり期待が持てると思います。PC / Tablet / Phone が 同じ OS で統一されるというのも歓迎です。OSS 化 やクロスプラットフォーム推進の動きもよいですし、最近の Microsoft は正しく物事を進めている感があります。Windows 10 はリリース後1年間の無償アップグレードが発表されています。単なる OS ではなくサービスという位置付けのプロダクトとされているため、バージョンアップとか機能追加についてもこれまでと一味違う展開が見られるのではないでしょうか。

*1:ちなみに自分はアプリランチャーの類は使ったことがありません