改訂 Trac 入門 出来!

2008 年秋・・・・・「Trac 入門」初版が出版されました。

会社の人とTracの本を書きました(技評から出ます) - kondoumh のはてなブログ

Trac入門 ――ソフトウェア開発・プロジェクト管理活用ガイド

Trac入門 ――ソフトウェア開発・プロジェクト管理活用ガイド

あれから足かけ5年・・・・

「[改訂]Trac 入門」 を皆さんにお届けすることができます。

〔改訂〕Trac入門 ~ソフトウェア開発・プロジェクト管理活用ガイド (Software Design plus)

〔改訂〕Trac入門 ~ソフトウェア開発・プロジェクト管理活用ガイド (Software Design plus)

発売日は 3/8 に決定。一部書店では先行販売もあるようです。

執筆中(というか校正中)に Trac 1.0 がリリースされ安定版として登場したので、内容も Trac 1.0 で検証・修正しました。
Trac 1.0 完全対応版です。

この5年間のトピックとしては

といったことが挙げられます。

Trac をはじめとする ITS が普及・定着し、なんらかの ITS を使ったことがない開発者というの今やはほとんどいません(多分)。構成管理ツール(SCM) については普及期にあった Subversion は後発の分散 SCM に押され、今や Git が SCM デファクトの地位を確立しました。GitHub にアカウントを持ちカジュアルに SCM/ITS を使いこなす開発者も増えています。

最初に SCM を導入して構成管理の基盤を築き、次にTracRedmine のような SCM と連携する ITS を導入して効果を上げている開発チームは多いでしょう。より先進的な開発チームでは Jenkins に代表される CI ツールを導入・活用して、ソフトウェアがいつでも動作する状態を維持しながら段階的に機能を拡張する開発メソッドを定着化させています。

Trac でも Git や Jenkins との連携が進みました。Trac 1.0 では標準で Git をサポートするようになりましたし、Jenkins, Trac 双方に連携用のプラグインが提供されています。オールインワンパッケージである Trac Lightning をインストールすると、ほぼワンクリックで SCM/ITS/CI の統合環境が出来上がってしまいます。

このような状況を踏まえ、改訂版では、Subversion に加え Git との連携、Jenkins との連携についても加筆し、活用方法を提示しています。

初版の出版以降、筆者らは数百人規模の開発現場で Trac Lightning を導入・定着化する経験をしました。リポジトリーへのコミットルール・チケット運用ルールを決めてプロジェクトメンバーに展開し、性能問題が発生した時に対策を講じ、様々なプラグインを導入・評価して適用しました。大規模でチーム数も多いのでアンチパターンに陥っているケースも目の当たりにしました。

改訂版の構成や基本的な内容は初版と大きく変わっていませんが、随所に5年間の歳月の流れと実プロジェクトでの経験がフィードバックされています。4章(プロジェクトへの適用)、5章(SCM/CI連携)、6章(逆引き Trac)が特にボリュームアップしています。

初版を執筆する時、単なるインストール・カスタマイズノウハウ集に終始するのではなく、問題管理の本質と Trac がサポートする領域について、具体的にわかりやすく解説することに努めました。Excel しか知らないプロマネに ITS 導入のメリットを理解させる材料を提供したいという意図もありました。
今や Trac のような ITS を使うことはプロジェクトのスタート時点の必須条件として認識されるようになっていると思います。
GitHub や Backlog のような ITS/SCM のクラウドサービスが、気軽に利用できるようになっているため、ITS のサーバーを構築し管理する必要性は希薄になっています。紹介しているプラグインも数年後には陳腐化しているかもしれません。ただし、問題管理の本質やチケット運用の部分は古くなることはないでしょう。

初版で登場した、筆者らをモデルにしたイラストや漫画のキャラクターは全員男子でしたが、今回は女子が加わりました。

色んな意味でパワーアップした Trac 入門改訂版 をぜひ読んでみてください。

#執筆うらばなし的な内容も後日エントリー予定です。